幸さんの言葉に秀ちゃんの視線が鋭くなった気がしたけど、
放っておこう。
もう半分くらいは機嫌悪くなってるはずだから。
「しかもさっき、麻菜さんと休み被せてましたよね?」
「きっと、何かあるわよね」
ジッと見つめる二人に、秀ちゃんはわざとらしく溜息をもらした。
これじゃあ、何のための飲み会だったか分からなくなりそうだ。
いつの間にか、わたしと秀ちゃんの話題ばかりになっていたから。
「はぁー、麻菜と旅行行く約束してんだよ」
これで満足かと言わんばかりに、面倒くさそうに答えた秀ちゃん。
面倒くさそうにしてても、結局は教えてあげるのね。
「旅行ー!?麻菜ちゃん、いいわねー!」
幸さんが羨ましそうに、目を輝かせている。
「高校生の時、旅行行きたいねって話してて。秀ちゃん、それを叶えてくれるって……」
照れながらも幸さんにこう言うと、よかったねと微笑んでくれた。
そして、今まで一度も口を開かなかったあの人が、ついに。



