「……しゅ、秀ちゃん……」
「うん……」
「秀ちゃん、秀ちゃん」
ずっと、呼びたかったんだよ、秀ちゃんって。
前みたいに呼びたいのを、ずっと我慢してた。
「俺、麻菜にそう呼ばれるの好きなんだ。だからさ、これからもそう呼んで」
「うん、秀ちゃん、だいすき」
「俺も好きだ、麻菜」
もう我慢することないんだ。
秀ちゃんって呼ぶのも、好きって伝えるのも。
隙間がないくらい抱きしめ合ったわたしたちは、顔を合わせるとふふっと笑い合った。
「麻菜……」
頬を撫でるように添えられると、真剣な表情の秀ちゃんがいた。
そして、ゆっくりと近づいてきて……
秀ちゃんとわたしの唇が触れ合った。
ただそっと触れ合うだけなのに、そこからじわりじわりと熱が広がって。
全身が、電流が走ったみたいに波打った。
まるで昔に戻ったような、優しいキス。
愛されてることが全身から伝わってくるような、温かい気持ちに包まれた。



