騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




「……麻菜、それ……マジ?」


信じられない様子の彼に、ただコクンと頷いた。




すると。


「やべぇ……嬉しすぎんだけど」



仲森さんの余裕のない表情。

耳も赤く染まっていて、普段からは想像も出来ない反応。



しかし、そんな姿をずっと見せてくれるわけではなく……


次の瞬間、勢いよく抱きしめられていた。




「ひゃっ!な、仲森さん!」

「……やっと。やっと戻って来てくれた」

「仲森さん……」



痛いくらいにギュッと抱き寄せられて、ふわりと温かい優しい香りに包まれていた。



ためらいながらも、背中に腕を回すと。

上で彼が小さく微笑んだ気がした。




「仲森さん、か……。麻菜、呼んで。昔みたいに」


耳元でそっと囁かれ、全身がしびれた。