騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




「俺のせいで、麻菜はいなくなったって……」

「そんな……」



わたしたちはお互い、自分のせいだって決めつけて……

ずっとすれ違っていたんだ。


わたしは自分のせいで彼が夢を失ったと思って、姿を消した。


彼もまた、自分のせいでわたしがいなくなったと責任を感じていた。




「さっきさ、麻菜」

「うん……」



「自分のせいで俺は夢を失ったって言ってたけど、それ勘違いだから」

「え……?」


仲森さんはわたしの顔を覗き込むようにして言った。




「あの事故は麻菜のせいじゃない。悪いのは全部あのストーカー男だから」

「でも……っ」



今にも泣きそうになるわたしに、仲森さんは優しく微笑んだ。