そして、彼から聞こえてきたのは……
「恨んでないよ」
予想していなかったこんな言葉だった。
「うそ……」
「嘘じゃない。麻菜のこと恨んだことは一度もなかったよ」
彼の表情はとても真剣で、嘘なんか吐いてないって。
そう伝わってきた。
「わたし、あの事故以来、ずっと恨まれてるって思ってたの」
「麻菜……」
「わたしのせいで仲森さんは夢を失って、絶対わたしを憎んでるって」
仲森さんに恨まれても仕方がない。
それだけのことを、わたしはしたのだから。
ずっとそう思ってきた。
「もしかして、麻菜が突然姿を消したのって……俺に負い目を感じてたから?」
一瞬、彼の瞳が悲しく揺れた気がした。



