騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




汗ばむ手を引かれ、家の中へと導かれた。


初めて入る彼の家は……

家具も少なくて、モノトーンで、ガラッとしていた。



それが、すごく仲森さんらしいなって、思った。




「そこ、座ってて」

「あっ、あの……仲森さん……」

「麻菜、紅茶でよかったよな?」



伝えなくちゃ。


この気持ちを、彼に……




「仲森さん!」


思わず叫んでしまった声に驚いた彼が、固まった表情で振り向いた。



一瞬シンと静まった中、二人の視線が絡まると。

ドクンと、胸が大きく波打った。




「麻菜?ちょっと座って待っててな。すぐ入れるから」

「違うの!」



「………麻菜?」

「話……聞いてほしいの」