梅雨も明けた頃。

久しぶりに傘を持たずに出勤した時のことだった。




「あっ、麻菜じゃん!おはよー!」


デパートまであと数十メートルというところで、春菜に会った。


1週間くらい顔を合わせていなかっただけなのに、かなり久しぶりのような気がした。




「おはよう、春菜」


わたしの姿を見るなり駆けて来た春菜は、わたしの隣に並んだ。




すると、そこへ。


「おはよう、麻菜」


わたしの頭をポンポンと優しく叩き、追い抜いて行ったのは……仲森さんだ。


隣では彼のそんな行動に驚きを隠せない春菜。




「あっ……お、おはようございます。仲森さん……」


すぐに先を歩いて行ったしまった彼の背中を見つめながら、小さく呟いた。