離したくないって、思ってしまったから。
いけないと分かっていたも、傍にいたかったから。
「麻菜、早く……好きになって」
次の瞬間、掴まれた手が離れたと思ったら……
力強く、抱きしめられていた。
「やっ!ちょっ……仲森さん!離して!」
「麻菜、頼むから……」
切なくて、苦しそうな声。
そんな声で、わたしの名前を呼ばないで……
そんな風に呼ばれたら、わたし……
「麻菜……頼むよ。早く、俺のこと……」
———好きになれよ。
耳元で、低い声が響いた。
ゾクッとするような、低く色っぽい声が心にまで届いてきて。



