「なんか、懐かしいなぁ。麻菜もそう思わない?」
わたしも思っていた。
まるで昔を思い出させるこのシチュエーション。
高校生まではよくこうして手を繋いで一緒に帰っていたから。
「………懐かしいですね、ほんと」
「だろ?」
何なんだろう、この感覚。
本当に昔に戻ったみたいに錯覚しそうになる。
昔の付き合っていた頃のわたしたちに戻ったみたいに……
「さっきも言ったけどさ、麻菜……」
少し昔の思い出に浸っていると、彼の声がわたしを現実に呼び戻した。
「俺、期待してもいいんだよな……麻菜がまた俺に心を開いてくれてるって」
「え……」
「最初は嫌がってたけどさ。今だってこうして、俺と手繋いで歩いてるし」
「そ、それは……」



