「麻菜って昔から意識飛んでたよなぁ。よくボーっとしてたし」
「えっ……そんなことないです……今もたまたま」
昔から仲森さんはわたしのことをボーっとしてるってからかっていたっけ。
今みたいに、小さく笑いながら。
何だか少しだけ、昔に戻った気分になった。
「ちょっとー!二人とも何してんの!早く早く!」
数歩前を歩く幸さんが業を煮やして、わたしたちを呼んだ。
「あっ、待ってくださいよ!幸さん!」
少しムッとしたような表情を見せた彼女を慌てて追いかけた。
わたしが駆けだすと、仲森さんも軽く走り出す。
「こうなったら今日はとことん付き合ってもらうからね!」
幸さん行きつけの居酒屋さんに到着するなり、かなり気合の入っている幸さん。
いきなりビールを注文し、それを一気飲み……



