「朝の職場で二人っきりねぇ……もしかして私、お邪魔しちゃった?」


うふふと口元を押さえながら、幸さんが言った。




「分かってんならもう少し気を利かせて入って来いよな。今ちょうどこいつ口説こうとしてたとこだったんだけど」

「ちょっ!仲森さん!」



口説くところだったって……!

幸さんの前でそんなこと言わなくたっていいのに……!



慌てて幸さんの誤解を解こうとしても。

幸さん本人はさらにニヤニヤと笑うばかりで。





「あらー!ごめんなさいねー!私見てないから、どうぞ続けて!」

「………」


きゃーっと言いながら、目を手で隠してはいる幸さんだけれど。

そーっと指の隙間からこちらを窺っていた。



見てないっていいながら、見てるし!幸さん!




「はぁ……」



すると、分かりやすい大きな溜息を吐きながら、仲森さんはどこかへ行ってしまった。