「好きな女をあんなヤツに渡せるかよ。アイツには絶対渡したくない」 耳元で囁かれた。 低くて、痺れる……ゾクッと背中に電流が流れたみたいになった。 「麻菜……好きだ」 聞き間違いかと思った。 だって、こんな告白……あり得ない。 「ずっと麻菜が好きだ。俺、麻菜じゃないとダメなんだよ。頼むから、他の男のものになんてなるな」 おかしいよ…… こんなわたしのことをまだ好きだなんて。 昔、あんなひどいことをしたわたしを好きだなんて。 「俺、諦めるつもりないから。覚悟しといて」