こんなことダメだって分かってるのに……

前よりもっと、もっとずっと、ドキドキしてる。




「仲森さん!やだ……」



もっと……と彼を求めてしまいそうになるのを必死で抑え、全力で彼を押し返した。


でも、バタバタ足掻くわたしを彼は自分の腕にしまい込んだまま。




「なんでだよ……なんで……」

「仲森さん……?」


さらに腕に力が入り、何も抵抗できなくなった。


苦しく、何かを訴えるような彼の声が、わたしの抵抗を止めたのだ。





「アイツには大人しく抱きしめられてるくせに……どうして俺だと拒否すんだよ……」

「アイツ……?」



アイツって……もしかして。

ううん、まさか……あれを見られているわけない。





「この前の土曜日に見たんだよ。マンションの前で……車の中で抱き合ってるお前らを」