「仲森さん……それじゃあ……」
仲森さんが口を開かないまま部屋の前に着いてしまい、彼に別れを告げ家の中に入ろうとした時。
ドアノブにかけた手を掴まれてしまった。
「な、仲森さん!?」
さっきとは打って変わって、彼の強く熱い視線がこちらに向けられた。
「待って、麻菜。まだ話は終わってない」
「あ、え……?あの……」
ギュッと力を込めて握られた右手。
その拍子にドクンと、大きく胸が高鳴った。
「麻菜、俺……昔と一緒だから」
「え……?」
昔と一緒って……どういうこと?
そう思った時には、もうすでに彼に抱きしめられていた。
再会してからこうして抱きしめられるのは二度目。



