「いえ。あの……話って?」
「あー、うん。それは帰りながら話す」
そう言われたものの……
仲森さんは一言も口を開くことはなかった。
「………」
「………」
沈黙はしばらく続き、この時間が一番辛かった。
彼をたまにちらっと見たけれど、何か真剣な表情をしていて話しかけられないし。
彼は話しださないしで、どうしたらいいのか。
そして、わたしにどんな話があるというのか、色々考えているうちにとうとうマンションまで到着してしまった。
「あ、あの……仲森さん。話って……」
やっぱりないのだろうか、と思いながらもう一度彼に声をかけてみた。
「麻菜……」



