残されたわたしを始め、その場にいた同僚たちも彼の行動に呆気にとられていた。


ただ一人を除いて……




「きゃーははは!下で待ってるって!どうするよ、麻菜ちゃん!ヤツは本気みたいよ!」

「さ、幸さん……どうするって言われても……」


異様にテンションが高い幸さん。




「ついに食われちゃうかもよー?覚悟しといた方がいいんじゃない?」


面白そうに「きゃー!」と言いながら、幸さんは一人ではしゃいでいた。



本当にどうしよう……

仲森さんが下で待ってるって……


彼は一体どういうつもりなんだろう。



行くべきか、それとも逃げるべきか……

散々悩んで、悩んで、悩んだ挙句、結局逃げることは出来なくて気付けば彼の前に姿を見せていた。




「あ、あの……」

「ごめん、急に」