「わたし、それずっと観たかったんですよ!よく分かりましたね」
「麻菜ちゃんは恋愛映画が好きだって春菜に聞いたんだ」
「あっ、春菜……」
わたしの好みはすでに春菜から調査済みってことか。
「流川さん、準備早いですね。チケットも先に買っておいてくれたりして」
「まあね……麻菜ちゃんとのデート、楽しみでしかたなかったからかな」
「る、流川さん!?」
「まあ、少し失敗しちゃったけどね」
先ほどのトレーを軽く持ち上げ、彼は言った。
買うの忘れそうになったことを言ってるんだ。
少し照れてるところが……何だか可愛く思えた。
「暗いから足元気をつけて」
こういう気遣いも女性が惹かれる理由だろうなぁ。
絶対、流川さんモテるだろうし。



