もしかして取るチケットを間違えたのだろうか。
そんなことを考えていると、5分足らずで彼が戻ってきた。
「ごめんね、麻菜ちゃん。お待たせ。これ、買い忘れちゃってさ」
失敗したというように苦笑いを浮かべた彼の手にはトレーが。
そして、そのトレーには飲み物2つとポップコーン。
「麻菜ちゃん、コーラでよかった?」
「あ、はい。えっとお金……」
「よかった。俺さ、映画って言ったらいつもコーラとポップコーンなんだよね」
チケット代もついでに聞こうと思ったら、さっと違う話題に反らされた。
もしかして、わたしにお金払わせないつもり……?
「観る映画これだから」
彼が見せてくれたチケットの映画のタイトルは何と『紅花』
主演女優がかなり注目されていて、ここ最近大ブームを巻き起こしている映画だ。
ただの恋愛映画じゃない。
ファンタジーを含むラブファンタジー映画だ。



