騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




流川さんは少し照れた表情を見せた。


やっぱり流川さんは紳士だ。

これを普通だって言える彼は本当に紳士だと思う。




「流川さん、チケット……」


チケット売り場に行かず、そのまま進んでいこうとする彼の足を止めた。




「うん?」

「チケット……まだ買ってないですよ」

「あるから大丈夫」


「え?あるって……」

「もうすでに買ってあるんだ」



用意周到だなと感心していると、突然彼の表情が変わった。


やばいというような、そんな表情に。




「間違えた……麻菜ちゃん、ちょっと待ってて」

「え?あ、はい」



流川さん……間違えたって。

何を間違えたんだろう。