掴まれた腕が痛くて、彼の背中が怒っている。


仲森さんと流川さん。

今日初めて顔を合わせたと思っていたけど、そうは思えない。




「仲森さん!仲森さんってば……!」



ようやく足を止めた彼がこちらに目を向けた。



怒っているのかと思ったけど……

彼の表情は怒っているものではなく、焦りだった。


仲森さん……

何をそんなに焦っているの……?




「仲森さん……って、流川さんと知り合いだったんですか?」



しばらく無言が続いたけれど、彼がついに重たい口を開いた。




「……いや。別に知り合いじゃない」

「で、でも……」