「彼女とデートしたんでね」
「デート、ねぇ?へぇ……」
仲森さんの表情が読み取れない。
複雑な表情を浮かべるばかりで、彼がどんな気持ちなのかも。
「というわけで、今日も俺が送って行きますよ」
「………いや」
流川さんが再びわたしを送って行くと言うと、すぐさま仲森さんがそれを阻止した。
わたしの肩を抱き、さらに引き寄せられる。
「その必要はない。俺、麻菜と同じマンションに住んでるから」
「は……一緒?」
「俺が一緒に帰れば、お前が送って行くこともないだろ」
わたしの肩を抱いたまま、仲森さんは歩きだした。
酔っ払って突っ伏してしまった幸さんと、呆然と立ち尽くす流川さんを残して。
「やっぱりその子だったんだ?」



