騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




そんなこんなで幸さんがよく行く飲み屋さんに到着。



「どうぞ」


いつものように流川さんが幸さんとわたしを先に入れてくれた。




「あ、ありがとうございます」

「まあ!レディーファーストなんて初めて!誰かさんも少しは見習ったら?」



幸さんがある人をちらりと見ながら、こんなことを言っている。


誰かさんとは言うまでもなく……

仲森さんのことだよね。




「うっせーよ」



不機嫌になった仲森さんを見て、幸さんが笑った。


それに釣られるように、流川さんも小さく笑っている。




「あははー!へぇー!麻菜ちゃんとはそうして出会ったのねー!」



すっかりテンションが上がった幸さん。


何故かわたしと流川さんの出会いを聞いて、さらにはしゃいでいた。