「麻菜、アイツと行くのか?」
支度を整え、スタッフルームを出ると、そこに仲森さんがいて声をかけられた。
真剣な表情をしていて、思わず息を呑んだ。
「まあ……」
そして、「麻菜……」と何かを言いかけた彼の横を通り過ぎ、流川さんの元へ向かった。
後ろでは何やら仲森さんと幸さんが話しているのが聞こえる。
「お待たせしました」
「じゃあ、麻菜ちゃん。行こうか」
流川さんと並んで歩きだそうとした時。
後ろからバタバタと足音を響かせながら、賑やかな幸さんの声が聞こえた。
「麻菜ちゃーん!待って!麻菜ちゃーん!」
「幸さん……?」
幸さんが仲森さんを引き連れて、こちらに走って来ている。
仲森さんは複雑な表情を浮かべ、彼女に為されるがままという状態だ。



