「ごめんごめん。流川さんはレディーファーストだから、そんなの当たり前なの。だからそんな挙動不審になることないから」
お構いなしに声を出して笑う春菜と、声を殺してクスクス笑っている流川さん。
本当、何やってんだか。
今日、初対面の流川さんにもこんなに笑われてるし。
それにしてもこの容姿、この性格。
レディーファースト、かぁ……
似すぎている、彼に。
流川さんは、昔の“秀ちゃん”にそっくりだった。
外見はパッと見、仲森さんと全然違う。
容姿というか、雰囲気というか。
何となく似ていたんだ。
「麻菜ちゃんは何飲む?」
流川さんのわたしを呼ぶその声にドキッと胸が高鳴った。
“麻菜ちゃん”ってジョンにもよくそう呼ばれているけれど。
ジョンの時とは全然違う気持ち。
何だろう、これは。



