たまにこうやって男らしいところを見せるから、それが逆に心臓に悪い。

不覚にもそんな彼に一瞬ドキッとしてしまった。



ようやく降りる駅に到着し、人並みに乗って地下鉄を降りた。




「ジョン、もういいから手を離して」


地下鉄を降りても一向に手を離す気がなさそうなジョンに文句を言ってみる。




「……それより麻菜。僕に何か言うことないの?」

「言うことって……何をよ?」

「僕、せっかく助けてあげたんだけどなぁ。さっきのオジサンから」



早くと急かすように、目力のあるその瞳で要求してくる。




「……さっきは助かったわ」

「素直にありがとうって言えば可愛いのに」

「どうせわたしは可愛くありません」



フンとわたしはそのまま改札口へと向かった。


それなのに、ジョンはクスクス笑いながらわたしを追いかけてきて。




「あれー?拗ねちゃった?でも、素直じゃない麻菜も可愛いよ~!!」