「あっ、そうそう。麻菜知ってる?」

「何を?」

「今日ね、そこに誰か引っ越してくるらしいよ」



わたしの隣の部屋。

右隣に位置するジョンの部屋とは逆側の、わたしの左隣に位置する部屋だ。


この部屋はずっと空き部屋になっていて、ようやく人が入ってくることになったらしい。





「引っ越してくるとは聞いてたけど、それって今日だったの?」

「そうみたいだよ」

「へぇ、知らなかった。今日だったんだ」



近いうちには引っ越してくるだろうとは思っていたけど、今日だったなんてね。


あまり興味はなかったけれど、一応これからお隣さんになることだし。


そんなことを考えながら、ちらっと携帯を開いて見ると。





「ジョン、急がないと遅刻じゃない?」

「あっ、ホントだ!早くいかないと!じゃあ、後でね、麻菜!」

「………」



わたし、今日オフだから、後でも何もないんだけど。

やっぱりジョンのテンションにはついていけないなぁと思いながら、わたしも街へ出かけた。