「ジョン、全部わたしが悪いの。仲森さんは関係ないから」
「麻菜……?」
仲森さんの表情がどんどん暗くなっていた。
視線も下げ、思いつめた時の彼の癖も出ている。
放っておけなかった。
「だから、ジョンはもう何も言わないで」
あんなに怖い顔をしていたジョンの表情までもが、暗くどんよりした。
「そっか。じゃあ、帰るか……あっ、それと」
空気の読めないジョンが珍しく空気を読んでいる。
しかもあまり似合わない、無理やりの笑顔を作らせてしまった。
そして、仲森さんの方をもう一度向き直し。
「麻菜は僕がしっかり送り届けますので。同じマンションですから」
わたしの腕を掴み、挑発するかのようなジョンの態度。
仲森さんは何も言わないまま、わたしはジョンに腕を引かれるまま外に出た。
その時、ちらっと見た仲森さんの姿。
俯いていて表情は分からなかったけど、やっぱり。
元気がないことだけは分かった。



