騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




わたしの返事を聞かぬまま、仲森さんはわたしの隣を歩いている。


明日、全員に話があるなら、今話さなくても……

仲森さんと二人きりになるのをどうしても避けたいわたしは、そんなことを考えながら、お店のコンセプトを聞いていた。




「本店は老若男女とはず、前世代ターゲットにしてるが、うちの店はある世代だけに焦点を当てることにしたんだ」

「ある世代?って、もしかして若い女性ですか?」

「ああ、そうだ。ここ1ヶ月程度の売り上げを考えると、10代、20代の女性のお客様が非常に多かったんだ」



確かにそうだった。

本店同様、老若男女問わず、様々な世代にうける商品を揃えていたはずだ。



それなのに、お客様の8割以上が若い女性だった。

それを考慮に入れたと言う訳か。




「それで、ここ最近の売り上げ傾向から、お嬢様風のファッションを中心に売り出すことにした」



お嬢様風のファッション。


元々、ボーイッシュなものも、仕事で着るスーツまで幅広く売り出していたけれど。

これからはこの一点に絞ってやっていくんだ。




「まあ、うちだけに限らず日本のSTAR☆はこれからこの方針でやっていく、という結果になった」