騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




「幸さん!そんなにめかし込んで、これから彼氏さんとデートですか?」



すると、一瞬キョトンとした幸さんの口元はすぐに緩み。




「そうなのよー。よく分かったわね。これから彼氏とイタリアン行くの」

「イタリアンですかー。いいですね」



「そんな羨ましがってないで、麻菜ちゃんも連れて行ってもらえばいいじゃない。きっと喜んで連れて行ってくれると思うわよ」

「………?」



幸さん、一体誰のこと言ってるんだろう。




「幸さん、もしかしてジョンのこと言ってます?」

「違うわよ!ジョンじゃなくて、秀平よ、秀平!」



「え?な、仲森さんですか?あの、仲森さんとはあり得ないかと……」

「そんなことないわよ。まあ、もう動いてるみたいだから、私が心配することじゃないか」

「………?」



全てを見通している、そんな表情の幸さんだ。


わたしは彼女の言っている意味がよく分からないんだけど。