ジョンには今までにも抱きしめられたことあるけど……

こんな風に抱きしめられるのは初めてだ。



「麻菜を悲しませることしか出来ないのに、どうしてそんな奴のことが好きなんだよ」


ジョンの言っていることは分かる。


いくらジョンでもわたしの気持ちは言えないよ。



「違う……好きじゃないから」

「嘘吐け。好きなんだろ?仲森さんのこと」

「だから違う!好きじゃない、好きじゃないの!」



違う……好きじゃない。

わたしは仲森さんのこと、好きじゃない。



「麻菜って、いつもそうやって言い聞かせてるんだ?」

「え?」

「仲森さんが好きなくせに、好きじゃないって自分に言い聞かせて」



今日のジョンはいつもと違う。

わたしを追い詰めて、色々探ろうとしてるんだ。


それに追い打ちをかけるように、わたしに雨が降り注いでいた。