「ははっ、ほんと秀平って過保護だなぁ」
わたしたちの繋がれた手を見ながら、先輩は言った。
「放っておけ。俺のなんだから」
じゃあなと言った秀ちゃんは、わたしの手を引いて歩きだした。
もう日も暮れている夜道。
こうして秀ちゃんと手を繋いで歩いたのは何度目だろう。
同じ学校に通えるのは、もう今年で終わり。
それを考えると、こういう時間がとてもかけがえのないものになっている。
「麻菜、最近はどうだ?」
きっと秀ちゃんが言っているのは、ストーカーのこと。
以前、誰かに付けられている気がして、秀ちゃんに相談したことがあった。
わたしの気のせいかもしれないけど、気味が悪かったから。
そうしたら、秀ちゃんは登下校は必ずわたしとするようになった。
「うん。秀ちゃんと毎日一緒に登下校するようになってからは大丈夫みたい」
「そっか。ならよかった」



