そして、よしよしと頭を撫でてくれる。
そんなわたしたちを見ていた溝口先輩が言った。
「ほんと、お前たちって。ほのぼのカップルだよなぁ。見てると和むっつーか」
よく皆に言われることだ。
―――“ほのぼのカップル”と。
わたしたちが付き合うようになって、すぐにこう呼ばれるようになった。
どこらへんがほのぼのなのか、よく分からなかったんだけど。
わたしたちを見てると、和むってよく言われる。
「ははっ、まぁ、勝手に言っとけ。じゃあ、麻菜。帰ろうか」
わたしの鞄を持って、手を繋いできた。
秀ちゃんの右手には自分とわたしの2つの鞄があって。
左手でわたしの手を握っている。
「秀ちゃん!鞄くらい自分で持つよ」
「いいよ、これくらい」
でも……と言おうとした時。
その声は、溝口先輩に遮られた。



