騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




お昼時だというのに、先ほどよりますますお客様が入っていて。

店長も仲森さんたちも忙しなく動いていた。




「これからも忙しくなりそうね」


そう言って、幸さんが足を進めようとした時だった。




「あー!これだよね!」

「そうそう!キャラメル様のブログに載ってたワンピースだ!」

「さっすがキャラメル様!本当、可愛いよね!」



キャ、キャラメル様……?

キャラメル様って一体……?


幸さんと二人顔を見合わせ、話をしていた高校生くらいのお客様たちのところへ向かっていった。




「あの、すみません」


幸さんが声をかけると、女子高生たちはビクッと体を震わせた。


そして、少しまずそうな顔をする。




「あっ、すみません……うるさかったですか?」

「あ、そうではなくて……その今のお話のことをお聞きしたくて」


申し訳なさそうにシュンとしている女子高生たちに、幸さんと二人少し慌ててしまった。