「そうなのよ。みんなそっちで買い物済ませちゃってて、ここではあまり買ってくれなかったのよね」
「そうかぁ……はぁ……」
結局試してみてもこれかぁ。
なんか、タイミング悪いなぁ。
「そんな暗い顔しなくても大丈夫よ!」
明るい声の幸さんが、あたしの肩をバシッと叩いた。
「どうしてそんなにポジティブなんですか、幸さんは」
「だってまだ始まったばかりじゃない。勝負はこれからよ」
そっか……そうだよね。
まだ始まったばかりなんだ。
こんなところで、くよくよ悩んでいる場合じゃない。
勝負はこれから。
わたしは幸さんの言葉を頭の中で何度も再生した。



