「なんでもないの。ちょっと自己嫌悪。ほら、今日寝坊しちゃったし」
「そう。でも気にしなくていいんじゃない? 毎朝早いんだし、今日は休みだし」
「うん。ありがとう」


 会話が途切れ視線を外すと、結衣の頭の中は、再び同じ事にグルグルと囚われ始める。

 少ししてランシュが、沈黙を破って立ち上がった。


「出かけよう、ユイ」


 結衣は驚いて、ランシュを見上げる。


「え? どこへ?」


 ランシュは笑顔で、結衣の手を取り立ち上がらせた。


「どこでも。ユイの行きたいところ。だって、やっぱり元気ないもん。気分転換に。ね?」