バイナリー・ハート



 黙って睨むロイドをからかうように、ランシュは首を傾げて顔を覗き込んだ。


「それとも、ユイが何か言いましたか? オレに危害を加えられたとか、オレに怖い目に遭わされたとか」

「いや……」


 ユイはランシュを怪しんではいない。
 抱きしめられても不快に思っていないという事は、ランシュを男としてさえ、警戒していないという事だろう。

 その辺はユイの鈍さが原因だと思われる。

 答えるわけはないと思いながらも、ロイドはランシュに尋ねた。


「何を企んでいる?」


 ランシュは笑いながら答えた。


「それをあなたに話すわけないでしょう。今のところは、まだ様子見ですよ」