平然と挨拶をして通り過ぎようとするランシュに、ロイドは壁に手をついて行く手を塞いだ。
ランシュは無表情のまま、ロイドを見上げる。
ロイドは睨みつけながら、努めて静かに非難した。
「ゆうべのあれは何のつもりだ。ユイに危害を加えないと、おまえは誓っただろう」
表情を変えることなく、ランシュはしれっとして答える。
「危害は加えてないでしょう? あれはあなたへの牽制です。あの時のあなたは冷静さを失っていた。ユイの目の前でオレとの険悪な関係を暴露したくはないでしょう?」
ぐうの音も出ない。
確かに、ランシュに抱きしめられているユイを見ただけで、心臓が脈打った。
だが、そんなロイドを挑発するように笑って、冷静さを失わせたのはランシュだ。
まんまと乗せられた自分に非があるとはいえ、ユイに知られたくないなら、なぜそんな事をするのか、ランシュの真意が未だ掴めない。



