バイナリー・ハート

 風呂を出て一階を覗くと、灯りが消えている。
 ユイも寝室に引き上げたのだろう。

 寝室に入ると、ユイが満面の笑顔で目の前に大きな皿を突き出した。
 皿の上には先ほど一階で見た、山盛りシュークリームが乗っている。


「寝る前に、こんなには食えないぞ」
「だったらひとつだけでも食べて。きっと元気になるから」


 ゆうべロイドが不安を抱えていた事を、ユイは気遣っているのだろう。
 だが、先ほどのランシュの事に、心が動揺していて、そんな気分ではなかった。


「悪いが、今はいい。明日にする」
「そう……」


 ユイはガッカリしたように肩を落とした。
 とぼとぼと隅のテーブルに向かい、皿を置いて俯く。
 あまりに気落ちした様子に罪悪感を覚えて、ロイドはユイに歩み寄った。


「ユイ」