「ランシュって、あんまり学者さんっぽくないわね」


 つい口に出して言うと、ランシュはやっとこちらを向いた。


「そう?」
「うん。学者さんって死後の世界なんか、夢のような事ってバカにしそうじゃない?」


 結衣の言葉に、ランシュはおもしろそうにクスクス笑う。


「一般の人の方が、よっぽど現実主義だと思うよ。だって科学者は夢のような事ばかり考えてるもの」


 キョトンと首を傾げる結衣に、ランシュは言葉を続ける。


「遠くの街に住む人とリアルタイムで話をしたり、空を飛んだりって、ずっと昔には夢のような事だったよね? 今の世界に当たり前のように存在するいろんな物は、昔の科学者が見ていた夢の結晶なんだよ」