結衣は隣に行って座る。
 ランシュは気にも留めず、空を眺め続けていた。


「今日は星がきれいね」
「うん」
「何してるの? 考え事?」
「……おばあちゃん、お孫さんに会えたのかなぁって考えてた」
「お孫さんがいたの?」
「うん。随分前に事故で亡くなったんだって。オレと同い年くらいだったらしい」
「そう……」


 ランシュを保護していたベル=グラーヴは、ランシュに亡くなった孫の姿を重ねていたのかもしれない。


「最期に、やっと孫に会えるって言ってたから、会えたならいいなぁって……」


 空を見つめたまま、ランシュは少し寂しげに微笑む。

 死後の魂の交流など、誰も確認した者はいない。
 最先端科学の間近にいたランシュが、そんな夢物語のような事を口にするのが意外だった。