夜になり、夕食と風呂を済ませると、ランシュは二階に引き上げた。

 すでに十時半を過ぎていたが、ロイドはまだ帰ってこない。
 昨日早めに帰ったしわ寄せが来たのかもしれない。

 明日は店の定休日なので、結衣も早く寝る必要はない。
 とはいえ、毎朝早起きをしているので、そんなに遅くまでは起きていられない。

 可能な限りロイドの帰りを待っていようと思い、後片付けと風呂を済ませた後、本を取りに二階へ上がった。

 階段を上がって廊下に出ると、バルコニーへ通じる扉が開いているのに気付いた。

 洗濯物を取り込んだ時、閉め忘れたのかと思い近付くと、ランシュの姿が見えた。

 バルコニーの真ん中で、ひざをかかえて座り込み、ぼんやりと夜空を眺めている。

 結衣が声をかけると、ランシュは少し振り返って見ただけで、再び夜空に視線を戻した。