再び襲われた違和感の正体を、結衣は悟る。

 耳元で囁かれた時、ロイドとランシュでは感覚が違うのだ。
 ロイドの時は背筋がゾクゾクするのに、ランシュの時はそれがない。

 相手に対する自分の気持ちが違うから?
 そうじゃない。
 ローザンの時もゾクゾクした。

 違いが何なのか考えて、ふと思い至った。

 ランシュを見つめたまま、またしても動きの止まった結衣を、ランシュは不思議そうに見つめ返す。


「どうかした?」
「ううん。なんでもない」


 自分で出した結論に、自分で首を振る。
 そんな事はあり得ない。

 馬鹿げた結論を頭の隅に追いやって、結衣は一心不乱にメレンゲをかき混ぜた。