再びメレンゲを泡立て始めた結衣を見つめて、ランシュがポツリと言う。


「ユイは、優しいね」
「そう?」
「ユイのそういうところ、オレも好きだな」
「ありがとう」


 気落ちした結衣を、自分が落ち込ませたと思って、ランシュはなんとか慰めようとしているのだろう。

 結衣がロイドのために何もできないのは、ランシュのせいではないし、それを再認識して落ち込んでいるのも、結衣の勝手だ。

 ランシュの気遣いに礼を述べて、結衣は笑顔を向ける。

 するとランシュは、結衣の耳元で一言囁いた。


「今の言葉、先生には内緒ね」


(あ……まただ……)