結衣は顔を上げて、ランシュを見つめた。


「そうなの?」

「うん。オレ、子供の頃から先生と付き合いがあるから間違いないよ。黙ってりゃモテるんだけど、エロい事言うから、女性に敬遠されるみたい」


 結衣は思わずクスリと笑う。


「どっちにしろ、オレも今は部外者だし、あまり力にはなれないよ。先生の好きなお菓子を作ってユイが励ましてあげたら? ユイのお菓子は見てるだけでも幸せな気分になるって、おばあちゃんも言ってたし」


 ランシュは頬に当てた手を下ろし、結衣の肩をポンと叩いて微笑んだ。

 結衣も微笑み返す。


「うん。そうする」


 結局自分には、それしかないようだ。