バイナリー・ハート

 漠然とした不安が、胸中を支配する。

 ランシュに気を許すなと、ユイに忠告したい。
 けれどそうすると、ランシュが復讐を企んでいる事や、なぜ復讐しようとしているのかを話さなければならない。

 あれだけ仲良くしているランシュを、理由もなく警戒しろと言ったところで、ユイがおとなしくいう事を聞くとは思えない。
 守秘義務をこれほど恨めしく思った事はなかった。

 ロイドは机に突っ伏したまま、片手で頭を抱えた。
 しばらくそうして、堂々巡りを繰り返していると、扉がノックされユイが声をかけた。

 ロイドは身体を起こし、返事をしながらメガネをかける。

 扉が開き、トレーに乗せた茶を持って、ユイが入ってきた。
 トレーを机の上に置いて、ユイは少し笑みを浮かべ申し訳なさそうに言う。


「ごめんね」


 意外な言葉に、ロイドは少し目を見開いた。