不機嫌さそのままに低い声で「ただいま」を言うと、ユイはいつもよりハイテンションで「おかえり」を返した。続いてランシュも笑顔で挨拶をする。

 金髪に染めて以前より幾分明るく見えるその無邪気な笑顔が、返って禍々しく思えてならない。

 ロイドは一旦二階に上がり、自室に荷物を置いてダイニングに戻ってきた。
 テーブルの上にはロイドお気に入りのニッポン料理、オムライスが乗っていた。

 ロイドが席に着くと、ユイは白ぶどう酒の入ったグラスをそれぞれに配る。
 そして自分のグラスを持ち上げ、ニッコリ笑った。


「じゃあ、ランシュを歓迎して、乾杯!」


 ユイの音頭で全員がグラスを掲げ、ぶどう酒を一口飲む。

 乾杯の後料理に手をつけ始めると、ユイとランシュは他愛もない話をしながら、楽しそうに笑った。

 ロイドは無表情のまま、時々振られる話に短い相槌を打ちながら、黙々と食事を続ける。

 やがて食事が終わり、食卓を片付けたユイは、デザートの皿を持ってやって来た。