「さっきはビックリしたでしょう? ごめんね。ロイドって、いつもは冷静で大人なんだけど、時々子供っぽいのよ」


 リビングの一角にダイニングの椅子を一つ持ち出してランシュを座らせ、結衣は彼の髪を染めながら語りかけた。
 ランシュはクスリと笑う。


「ビックリっていうより、意外だった。先生って社交的で誰とでもすぐに打ち解ける人だけど、特定の人に執着する事ってあまりないから」

「執着?」

「だって、あれってユイは自分のものだって、オレに見せつけたかったんだと思うよ」


 ランシュの言葉に結衣は苦笑する。
 やはりロイドは少し子供っぽい。

 わざわざ見せつけなくても、結衣はロイドの妻だとランシュは知っている。
 その事実が物語っている事なのに。