ロイドは絶句して、少し顔をしかめる。隣でランシュがクスクス笑った。


「……じゃあ、行ってくる」
「いってらっしゃい」


 ユイの肩を軽く叩いて出口に向かう時、ふとユイを見つめるランシュの視線が気になった。
 ユイの事を気に入っていると言った、ランシュの言葉が脳裏に浮かぶ。

 ロイドはおもむろにユイを抱き寄せメガネを外すと、いつもの挨拶とは違う深い口づけをその唇に刻む。

 驚いたユイが突き放そうとするのと同時に身体を離し、メガネをかけて背を向けた。


「何考えてんのよ!」


 ユイの怒声とランシュの笑い声を背に、ロイドは玄関の扉を閉めて、家を後にした。