バイナリー・ハート

 とても復讐を企んでいるとは思えないような屈託のない笑顔に、ロイドはひと息ついて席を立った。


「ユイを呼んでくる。わかっているだろうが、余計な事は話すなよ」
「わかってますよ」


 ランシュをリビングに残して、ロイドは店への扉を開いた。
 見るとユイは、外に出していた看板を片付けたり、店じまいを始めている。

 ロイドが呼ぶと、ユイはこちらを向いて笑顔を見せた。


「話、終わったの? ちょっと待ってね。店、閉めるから」
「もう閉めるのか? まだ二時だぞ」
「だって売り切れちゃったから」
「は? いつもこんなに早く売り切れるのか?」


 これでは売れ残りが自分の口に入る事は永遠にないと、ロイドは愕然とする。

 するとユイは苦笑しながら説明した。


「いつもってわけじゃないの。今日はたまたま予約分があったから」