ランシュの言う事を鵜呑みにはできない。
 だが、彼が生きている事を知ったからには、局長としてロイドは、科学技術局に知らせる義務がある。

 そうしたら、おそらくランシュの言う通り、彼は局内に半ば監禁状態になるだろう。
 瀕死の状態でさえ抜け出したランシュは、今度は容易に局を抜け出すに違いない。

 局に知らせて心証を悪くした分、ユイへの危害が及ぶ可能性は高くなる。
 ユイが危険に晒されるくらいなら、彼を手元に置いた方が得策かもしれない。
 しかし——。

 ランシュを睨んだまま、ロイドがそんな事を考えていると、それを見透かしたようにランシュが釘を刺した。


「オレの事、局に知らせたら、ユイの身の安全は保証しませんよ」


 ロイドは眉間にしわを寄せ、ランシュに念を押す。


「……ユイに危害を加えないと誓えるか?」
「えぇ。それは誓えます。あなたに関しては、この限りではありませんが」